2014年1月3日金曜日

レクサスISはDサルーンの立ち位置を変えたようだ

  12月くらいから新型ISが街でたくさん目に付くようになりました。どんな人が乗っているのかチェックすると、ドライバーの大半は高齢の女性のようです。なんだかこのまま「女性専用機」になってしまうのはなんかもったいないなという気がしますね。レクサスがかなりの危機感を持って挑んだクルマだったようですが、ちょっとガチ過ぎて逆に男性からは敬遠されてしまっている感じもあるのでしょうか。

  このクルマの画期的なところは、プレミアムブランドのDサルーンという「微妙」な境遇を正面突破して新たなスタイル・イメージを獲得したところにあると思います。LSやGSとは一線を画す独自のキャラクターラインを駆使して、レクサス全体に蔓延している「鮮度のない高級感」から離脱することに成功しています。新型レクサスISのデザインならレクサスのバッジに頼ることなく、その個性だけでマツダやジャガーに通じる「サルーン美」を体現しています。

  ISはデザインだけでなく、パッケージ面の進化も素晴らしいです。先代までは後席の居住性がお世辞にも良いとはいえず、このクルマが最も輝くであろうデートカー用途を主眼にしたものになっていたようです。しかし新幹線や高速バスのシートピッチもどんどん広がるご時世で、プレミアムサルーンを名乗る4ドアセダンの狭い後席はたとえ誰も座らないにしても貧乏臭く感じてしまいます。4人乗車しても前席のシートポジションを気にしないのが本当のサルーンでは?

  ISなどのFRサルーンはレイアウトの関係で、アコードやカムリなどのFFサルーンよりも車内スペースにおいては不利になります。抜群の後席居住性を誇るティアナやアテンザに対抗するためにFRのDサルーンは変化を求められています。そして主要モデルに関しては今後、次の3パターンのどれかへと移っていくようです。

  1つ目はFRレイアウトを放棄して、直4ターボのFFサルーンとしてDサルーンをリデザインしていくというものです。マークXの次期モデルがこの方法を取ると言われています。FF車の方が一般的に直進安定性に優れていますし、悪天候時の走行性能でも勝ります。FFの欠点と言えば、6気筒以上のエンジンを積む事でハンドリングが悪化することと、300ps以上を出すパワーユニットは発進時に不安定な挙動(トルクステア)が起こりやすくなり搭載が難しいという点です。マークXに関しては直4ターボか直4HVで200ps程度の出力しか予定していないので、FF化は妥当な選択と言えます。

  C63AMGやM3など、高出力モデルの発売が欠かせないプレミアムブランドにとっては、FF化によってトップエンドの顧客が離れてしまうので、Dサルーンのような主要モデルでは現実的な選択ではありません。つまりFRから逃げることはできません。ではどうやってFRのままDサルーンの魅力を高めるべきか?ここで日本勢とドイツ勢で異なるアプローチをしているところが面白いです。

  ドイツ勢は2012年に3シリーズがFMC(F30)しましたが、その時に採られた手法が車体の剛性よりも軽量化を優先した上でボディを伸ばして、200ps程度の直4ターボエンジンを使うスタイルです。なんと先代(E90)よりも車体は確実に大きくなっているのに車体重量は減っています。後席の足元も広くなって(ホイールベースが伸びて)車体が多少大きく感じられても、クルマが軽いので全般的に「良くなった」という声が多いようですね。それでもコアなBMW好きはE90の直6モデルを探す傾向にあるようですが・・・。

  まもなく発表される新型メルセデスCクラスも同じような設計思想を持っているようで、先代より100kg軽くてしかも大きくなって登場します。こちらは従来モデルが3シリとは違って深刻な販売不振に陥っているようで、その苦悩ぶりがよく分かる、かなり高レベルに革新的なDサルーンを打ち出してきました。メルセデスのブランド力だけで飛び付いてくれる客層にはAやCLAをバラまいてしまったので、新型CはDサルーンの頂点に君臨できるほどの仕上げにしないと苦戦は必至というマーケティングの結論によるものだと思われます。レクサスがISに注ぎ込んだものと同等かそれ以上の情熱でクルマが仕上がっています。CLAに飛び付いたニワカさんにプロモーションを仕掛けるという鬼畜な展開でしょうか・・・。


ちょっと長くなったので次回に続けます。(次回記事はコチラ)


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