これまで「オートカー」や「ルボラン」などの雑誌からは、完全にバカにされていたレクサスISですが、フルモデルチェンジを期に突如としてドイツセダンの最大のライバル車として引っ張りだこになりました・・・。先代はレクサスのFRのボトムエンドのクルマというだけの存在で、同世代の日本車にすら完全に遅れをとっている始末で、ドイツ車びいきの評論家達はこれ見よがしに批判と嘲笑をぶつけました。まあある意味では引っ張りだこだったのかもしれません。
先代ISの車体剛性の低さを執拗に叩くことで、「ドイツ車>日本車」がクルマの常識であるかのように流布されました。ただ真相は先代ISはE90BMW3シリーズと比べて貧弱なのは確かでしたが、E90を大きく上回るV36スカイラインやE90とほぼ同水準のGHアテンザを考えると現実は「日本車>ドイツ車」のほうが適切だったのです。これもアホメディアのプロパガンダの弊害なのですが、スカイラインとアテンザはドイツ車とは比べないというお約束すらあったようです。結局、北米の衝突実験で車体剛性に関しては「日本車>ドイツ車」が証明されましたが・・・。
無念なことに、日本車のイメージを大きく失墜させてしまったレクサスISは捲土重来とばかりに、スカイライン級の剛性を目指した新型ISとして登場しました。日本メーカーの開発は昔からインテグラル=アーキテクチャとして世界の他のメーカーと比べて、特に鋼板開発に強いと言われています。その日本メーカーのボスであるトヨタがその気になれば、世界のどこよりも「剛性がある」車体を作ることなんて朝飯前です。もちろん「軽く」もできますし「安く」もできます。BMWなんぞは所詮はエンジン屋であり、鋼鈑に関してはトヨタや日産が圧倒的にノウハウを持っています。
一足先に登場した現行3シリーズのF30をいまだに絶賛する人は少なくなってきたようですが、このクルマはV36スカイラインや新型レクサスISから見れば取るに足らないクルマです。実際にこのクルマが評価されているのは、悲しいことに日本の御用ジャーナリスト達が主催するRJCのCOTYのインポート部門で受賞した時しかないのです。ヨーロッパも北米も世界も完全に圏外と考えているクルマなのに、日本やアジアのジャーナリストだけがやたらと執心している盲目っぷりがイタすぎます。
それはともかく、3シリーズやCクラスのようにフロントにエンジンを搭載していながら、「ストラット」だの「3リンク」だの大衆車じみたサスを使っている段階でスカイラインやISの敵じゃないだろと思ってしまいます。最大斜度4パーミリ以下で直線ばかりのアウトバーンを疾駆するならそれでも構わないのでしょうが、そんなコストダウンの産物を有り難がっているのは日本とアジアだけです。アメリカ人やドイツ人にしてみたら3シリーズやCクラスは普通のクルマです。日本人ジャーナリストがベンツのエンジニアにCクラスはなんでこんなに五月蝿いのかと訊いたら、怪訝な顔をされたそうですが、ドイツ人からしてみたらCクラスを崇めて高級車の性能を求めるアジア人ジャーナリストの知性の低さに愕然としたのだと思います。
さて新型レクサスISの前評判の良さも手伝って、各誌ともにドル箱企画と言える「3シリVSレクサスIS」「CクラスVSレクサスIS」というドストレートな特集を組んでいます。ただシャシーもサスもブレーキも燃費性能も完全にレクサスISが上回ってしまい、ドイツ勢が唯一勝てる点が「安さ」だけという10年前には考えられなかった構図ができてしまいました。これではどうやっても主力購読層のドイツ車ユーザーの溜飲を下げることができないので、各誌とも「禁じ手」を次々と繰り出してきます。まず爆笑噴飯ものだったのが、「レクサスISはまんべんなく高得点な作りをしていて面白くない」という結びです。ちょっとばかりサスが安っぽくて直4で車内にロードノイズが入ってくる方が良いそうです。そういった欠点を持ち合わせる3やCが良いのならいっそのことスイフトスポーツとでも比べたらどうでしょうか?
次に面白かったのが、絶対にレクサスIS350を登場させない作戦です。もちろん350の圧倒的な戦闘力でドイツ車を瞬殺してしまい弁護不能な状況を招くからです。「なんだかんだいって300hが一番面白かった」という撹乱発言をしてまで、350を比較対象として登場させないことを、無理矢理肯定しようとしているのが強烈でした。まあドイツメーカーはドイツのCO2削減政策に遵守して自主規制しながらクルマ作ってるのだから、3.5Lのようなアメリカ市場しか見てないようなグレードは検討に値しないのかもしれません。それならAMG55やM3もフェアに消すべきではないでしょうか。まあV8積んでるのにストラットを使うという、ジャガーやアストンマーティンでは絶対にしないような暴挙のクルマなんてそもそも問題外なのですけど・・・。
↓このシリーズにしては充実の執筆陣で、クルマ全般の技術論が豊富で為になりました・・・
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